がんも農場のお店

2017年9月17日日曜日

低過庵。

もう7年前になるけども、移住した日は年明けすぐの
寒い寒い冬の日だった。暗くなるのも早く、夜はすぐにやってきた。
それまで東京の環状7号線沿いのアパートに住んでいた僕は、
佐久の夜のあまりの静かさと暗闇にそら恐ろしくなったもんだ。
今思えば、東京生活のほうが異常なのかもしれないけども、
毎晩長距離トラックのクラクションとか、救急車やパトカーの
サイレン音など、一日中止むことがない。朝起きて、
駐車場から車を出した瞬間にシートベルトで白バイに捕まったこともある笑
それくらい、がやがやと騒がしい場所だったんだ。

佐久に移住して、夜は暗さと静かさに慣れた。
たまに実家の埼玉に帰って泊まると、近所から聞こえてくる声やドアの
開け閉めの音でさえうるさいと感じるようになった。

きょうはそんな7年前の田舎暮らしを始めた当初の原体験を
思い出させてくれる日だった。

茅野で開催されている縄文ライフフェス。
そのイベントの一環で、藤森照信先生が設計した「低過庵」を作るという
ワークショップにこの夏参加させていただいていた。
その低過庵がきょうオープンしたのだ。きょうは初日ということで、
ワークショップ参加者や藤森先生を初めとした関係者のみなさんも
集まった。低過庵は半地下になっており、6人ほどが入るとちょうどいいくらいの茶室。
特徴的なのは、屋根が開閉式になっており、スライドさせると天井が無くなって
青空が望める。日中にも関わらず、屋根が閉じているときには窓がないので
ろうそくを灯して暗がりでお茶を楽しむ。静かで落ち着く空間。
しかし、ひとたび屋根が開くと一気に光が差し込んで気持ちが高揚する。
ほんの10分ほどの体験だが、静かな暗がりから、明るい賑やかな空間に様変わりする
その茶室は、貴重な体験を与えてくれる。静かな暗がりで6人が膝を突き合わせているとき、
明るくなって自然と会話が弾むとき。置かれている環境でこうも、人の心の持ちようが変わるなんて
考えたこともなかった。

でも、思い返してみれば腑に落ちる。
7年前に東京から佐久に移住した僕は、あれからきっと明らかに性格も考え方も変わっている。
それがいいとか悪いとかではなくて、変わるものなんだと思う。

低過庵の体験は、そんな人にとって当たり前のことを
思い出させてくれる素敵な茶室でした。

ちなみに、「高過庵」も「空飛ぶ泥舟」もきょうは開放してくれていて、
それぞれ体験させてもらった。こんなにわくわくするなんて久しぶり。
強烈なパワーをいただきました。

がん!がん!がん!

0 件のコメント:

コメントを投稿